カリカリ梅こんぶ

文句言って逃げる人生

僕たちはもうレッドになれない

やべ~~~剣盾めっちゃ楽し~~~~。ランクマ楽しすぎる~~~。

平然とした顔でポケモン400匹以上リストラしてフルプライスとは思えないクオリティで発売した挙句200匹追加分とマップを有料DLCで販売するとか新ポケモンのデザインと設定にドン引きしたとか発言とクオリティの矛盾が酷すぎてこんなの剣盾じゃねぇよポケットモンスター矛盾だろとか言いたいことはやまほどあるけど、とりあえずランクマッチが楽しすぎる。自分ががっつりやっていた第五世代よりもだいぶ育成が楽になったと思うし、ポケモンバトルはやりがいがある。

でもそこに辿り着くまでに、相当なストレスがたまった。

 

育成環境が整う、殿堂入りまでのシナリオである。なんだこれは~~~???というレベルで酷い。びっくりした。ポケモンは全シリーズやっているが、がんばリーリエ笑と想像力が足りないよ笑よりも酷いとおもった。

ピデルは外伝であったし(本編も酷いキャラ改変はあったが)、俺のリーリエ可愛いだろ、ほら守ってやれよ笑みたいなライターの俺の考えた最強のヒロインを見せつけられているだけでマンネリ化したジムバトルを廃止した新しい試みにチャレンジしようとしていたのは感じられるSMのシナリオはまだ目を瞑っていられた……いや、USUMも相当ストレスだったかもしれない。USUMこそフルプライスで買わせるな、と言うべきでもあるか。そう考えると今回の有料DLCは成長したか?

第六と第七世代にも言いたいことは溢れてくるが、今回は剣盾のシナリオに関してだ。

 

ポケモンバトル目当てで購入した自分にとっては、本編はチュートリアルのようなものだったので、とりあえず適当に流してやるか~みたいな軽い気持ちではじめた。軽い気持ちで初めてよかった。

全体的に主人公がストーリーの蚊帳の外過ぎてつまらなかった。というか何が起こっているのか全く理解が出来なかった。ぽかんとしていたら終わっていた。

露骨に「一本道化」させられたシナリオの上にのせられて、流されるままにジムを巡って、倒して、ライバルもついでに倒して、なんかよく分からないキチガイ顔芸ババァを倒して、なんかよく分からない理由でつっかかってきたビール腹の男を倒して、伝説のポケモンを倒した。そんな感じ。

ほんとすーーーーっと示された道を通ってきたからネタバレしたくでもできない。

 

つまらないと思った原因は二つあって、

 

明確な悪の意識を持った敵の存在がいなかったのと、「大人」の存在のせいだと思う。

 

今回は「大人」の存在にフォーカスを置きたい。

今回のシナリオの感想で多く目にしたのは「大人がしっかりしている」「大人が子供をちゃんと見守っている」などとシナリオに登場する主人公よりも年上の存在が「大人」としての役割を果たしている点だ。

確かに今までの大人は主人公である少年少女に伝説のポケモンの捕獲を任せたり、隕石の衝突を防ぐことを頼んだり、チャンピオンが敵に無様敗北をしてその後処理を任せたりと、頼りない印象がある。

それに比べれば剣盾の大人は、率先的に行動してくれるし、主人公たちを気にかけてくれる。爆発などの事件が起こった時も「大人に任せて!」と笑顔でジム巡りに見送ってくれる。

 

うん、「大人」だ。

 

でも主人公が「子供」の物語でそれを「大人」がやってしまってはダメなんですよ。

主人公は「子供」なんだから彼彼女に焦点をあててあげなきゃ。

どれだけ大人が駄目だと思っても、危険だと思っても、やらせなければ物語は始まらない。

物語の主人公には試練がなければつまらない。強大な敵がいなければやりがいがない。

それを試練も敵も、全て外野が「大人にここは任せて!」と言って解決しようとしてちゃそりゃつまらないでしょ。

 

映画やドラマで一大事件が起こってるのにマスコミが騒いでいる描写がないのは「ある」けど必要のない描写だから「省いている」のと一緒で「大人」の存在は「子供の成長物語」においては不要だからそこにしゃしゃり出てきたら駄目なんですよ。

一言で言ってしまえば大人の存在は「邪魔」でしかない。

剣盾の大人の「邪魔」は敵として立ちはだかる邪魔ではなくて、善の邪魔であるから厄介だ。

大人にまかせて!と笑顔で言われたら子供は頷くしかなくなる。

実際に爆発とか起きても大人に任せて!と言われたらジムチャレする選択肢しか主人公には残されていなかった。

シナリオ内の大人が子供の選択肢を狭める=子供を操作しているプレイヤーの行動を狭めている

物語の主人公にとっても、プレイヤーにとっても「邪魔」なのだ。

だからプレイしていてもつまらない。

 

「大人に任せて!」と言って子供(主人公)の選択肢を狭めている台詞と行動を美として賛辞するのは、ポケモンを長年プレイしている自分たち大人の独り善がりと自己満足なのでは?と思う。

ポケモンも20年以上続くロングシリーズとなり、ゲームボーイとソフト(当時はカセット呼びか)をねだりにねだって買ってもらった子供たちも、今は自分でswitchを買えるような社会人だ。赤緑の発売日を考えると、switchを自分の子に買ってあげて一緒に剣盾をプレイしている人も多いだろう。

だからこそ、子供を見守りたい気持ちは産まれるし、今までの作品の大人に対しての疑問だって生まれる。なにやってんだこいつらは、と考える。

ゲームの中の「大人」に疑問を持つことで、自分たちが「成長」したことを実感する。

 

でもその考えを実際に「子供が主人公の物語」にあてはめちゃいけない。

我々大人は自分たちの存在に目を瞑らなければならない。「大人」はいるけど「大人」として機能しちゃダメなんだよ。大人は子供が活躍するんだったらその場を譲ってあげなければいけない。登場する大人が無能でも、割り切らなきゃいけない。それが嫌なら大人が主人公のゲームをやってください。

 

「ここは大人に任せて、ジムチャレンジ頑張ってね!」そんな台詞を聞いて次の街への「一本道」を示された時、プレイしていて恐ろしくなった。

ゲームの中でも子供たちは、大人にこうして選択肢を狭められて楽しまなくちゃいけないのか?大人が指すべき道に絶対に進まなきゃいけないのか?

ゲームは大人の存在を無視できる世界なのに、そこですら大人たちに言われたことをしなければならない。

 

好きなポケモンをゲットして、好きなポケモンを好きなように育てる。好きなポケモンで殿堂入りをする。強いポケモンでライバルをねじ伏せる。沢山ゲットして図鑑を完成させる。コンテストを制覇する。色違いのポケモンをゲットする。バトルタワーで連勝を目指す。

世代によってやれること、楽しめることがいっぱいあった。

選択肢をいっぱいくれたポケットモンスターに、そんな可能性を狭めるシナリオを書いてほしくなかったよ。

 

ロングシリーズになり、プレイする年齢層が格段に広がってきたポケモンに、万人受けをするシナリオを作れなんて言うのは無理難題になったかもしれないし、インターネットで様々なプレイヤーの意見を取り入れて作った結果が「大人」を機能させたシナリオだったのかもしれない。「ここは大人に任せて!」の台詞でシナリオ端折りまくって時短させたんだろうな、としか思えないが。

これからも様々な意見が出てくると思うが、どうかメイン層である「子供」が楽しめるシナリオを作ってもらいたい。

 

「剣盾の大人はしっかりしている!」という意見を目にしたとき、自分たちは、悪の組織にたった一人で立ち向かい、壊滅に追いやった無言の少年にもうなれないんだな、と思った。